松林塾長ブログ

熱地テスト、寒地テスト、高地テスト

顧問の松林です。

車の会社で役員をしていた時の事です。車は色々な環境で使われるので それらの環境で使用しても問題ない事を確認する必要があります。

開発車両の最終テスト

もちろん第一には設計段階で色々な環境を考慮して設計します。
試作車が出来ると色々なベンチテスト(台上試験)で確認します。

そして最後はやはり実際に現地に車を持って行ってテストをします。

代表的なものに 熱地テスト、寒地テスト、高地テストがあります。

僕のいた会社では熱地テストはアリゾナのデスバレー、寒地テストはカナダのカプシケーシング、高地テストはアメリカのパイクスピークが主な所です。

それらについて少し書いてみたいと思います。

熱地テスト

熱地テストは僕自身はメンバーとして参加した事はありませんが何度かテスト隊がいる時にメンバーの慰問がてら参加したことがあります。

印象的だったのは メンバーの中にゴルフ気違いがいた時の事です。

デスバレー(死の谷)は非常に暑くて50度くらいになります。
そのためテスト隊はかなり長めの昼休みをとるようにしています。

デスバレーのゴルフコース

デスバレーのテスト隊の前線基地のそばに Devil`s Golf Course(悪魔のテストコース)と言う恐ろし気な名前のゴルフコースがありました。
大体そんなに熱い中でゴルフをやるというのは気違い沙汰で ゴルフコースはほとんど人がいません。

所がそのゴルフ気違いは長めの昼休みを利用して毎日そこでゴルフをやっていたと言うのです。実際僕も見てみましたが 地面は岩塩と岩でガチガチでとても普通にゴルフを出来るような環境ではありません。

ただ彼はデビルズゴルフコースと言う名前にひかれて毎日そこでクラブを振り回していたようです。

僕が行った時は彼はほとんど元の面影を無くしてしまってからからに干からびて真っ黒な棒切れのような状態になっていました。
僕は事故でも起きれば大変だと思い 彼に昼休みはゆっくりと休むように命令し,それでも心配だったのですぐに帰国させてしまいました。

いずれにしてもデスバレー(死の谷)とかバッドウォーター(悪い水)とかデビルズゴルフコースとか恐ろし気な名前がふんだんにあります。

ある時その近くのレストランに入った事があります。

デスバレーでエアコンが故障

所が最悪な事にそのレストランのエアコンが壊れているとの事で地獄の暑さでした。
印象的だったのはテーブルやいす等木でできたものについては問題ないのですが 手すりやドアノブ等金属で出来ているものについては気を付けないと大変です。

気温と同じ50度以上になっているのでうっかり触ると「アッチ!」と言う事になります。
そのテスト隊の後方支援基地はフェニックスにおかれていました。

フェニックスの大雨?

フェニックスは非常に大きな町で冬は乾燥して気候も温暖なので住みやすく非常に人気のある町で 僕も大好きな町の一つです。

僕のアメリカ人の友人で引退してフェニックスに住んでいる人が何人もいます。

僕がフェニックスを訪れた時に日本で言うとごく普通の雨が降っていたことがあります。
所がフェニックスの道路は冠水し大変な事になってしまいました。

フェニックスは雨が非常に少ないので道路の側溝も無くて 少し雨が降ると雨の行き場が無いので道路が冠水してしまうのです。

カナダの寒地テスト

寒地テストはカナダのカプシケーシングと言う所でやりました。

僕は寒い所でテストに加わるのは嫌だったのでずっと寒地テストには参加しないでいたのです。

所がうっかり騙されてしまいました。
「松林さん、今度の寒地テストの主目的はヒーターの試験なので大丈夫だと思いますよ。」と言うのでうっかり乗ってしまったのです。

所が考えてみるとすぐにわかりますが ヒーターの試験をするには一度車を冷やしてからヒーターを作動させてその効き目をテストするのです。

車を冷やす間(ソークと言いますが)テスト隊は待っていなくてはいけないのです。
待っている間はまだ良いのです。別の車や暖房のきいたテントの中にいれば良いのですから。

問題はヒーターテストの開始の時です。僕たちはキンキンに冷えた車の中に入ってヒーターのテストを開始するのですが 当たり前ですがエンジンも車も完全に冷えているのでヒーターが効いてくるまで時間がかかります。

ヒーターテストはその立ち上がりの速さを調べるのが主目的です。
快適な室温になるまで寒い中で耐えていなければなりません。

僕はうっかり騙されてしまった自分の馬鹿さ加減を呪いました。
外気温はマイナス50度程度でしたが 面白い経験をしました。
ソークしている間やることも無いので氷原を走り回ったのですが これがコンクリートの上を走っているのと全く変わりません。と言うかコンクリートの上より滑らないのです。

スリップするとかそう言う事は全くないのです。
氷の上で滑ると言うのは重さが加わって氷が解けてその溶けた水で滑るのです。

アイススケートが滑るのも全く同じ理由です。
なので非常に寒い所では全く氷が解けないので氷の上でも全くスリップしないのです。

非常に暑い所とか非常に寒い所ではこのような不思議な体験をします。

しかしこの夏の暑さは異常ですね。熱地テストが日本で出来るのでは。

日本の夏は湿度が高くて肌にまとわりつくような感じがあるので カラッとしたアリゾナの
熱地の方が過ごしやすい気もします。

松林努

松林努

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モズエンタープライズの顧問の松林です。
これまでは、いすゞ自動車で長く勤め、最後は商品企画、開発、品質保証等を行っていました。常務取締役でした。
そのあと上海GMの社長、日産自動車顧問、と自動車業界で長くやってきました。

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