僕は自動車のビジネスをしている時には 自動車産業の本拠地 GMの本社やテクニカルセンターのある
デトロイトに頻繁に出かけていました。
デトロイトの夏は爽やかでゴルフに最適ですが 冬は本当に寒いです。
そんなデトロイトに記録的に寒かった時に訪れた事があります。
そんな極寒デトロイトについて書いてみます。
ある冬デトロイトに到着したところ何十年ぶりかの大寒波が襲来していました。
寒いデトロイトでも記録的な寒さだという事で多分マイナス30度位だったと思います。
先ず飛行機を降りても荷物を降ろす機械が凍り付いているとの事で荷物が出てきません。
荷物のターンテーブルの所で大勢の人が 「何時荷物が出てくるんだ!」と騒いでいます。
空港全体が何か騒然とした感じでした。
僕はいつも機内持ち込みの荷物だけで動いているので関係なく外に出ました。
僕は 出張の時 現地駐在員に出迎えてもらうのは嫌で勝手に自分でレンタカーを借りて
行動するのが普通でした。
これが現地駐在員にはなかなか不評で「あの人は勝手に行動する」とか言われていた
ようですが 現地に駐在員を置いておくのは日本からの出張者の面倒を見るためでは
無いので僕は平気でした。
駐在員には「お前たちは本社の役員を空港に出迎えるより重要な事があるだろう」と言っていました。
ただこのような記録的な寒波の時には出迎えてもらったほうが楽だったかな〜と
一瞬考えましたが(T ^ T)
空港のレンタカーヤードへ
先ずはレンタカーを借りなくてはならないのでレンタカー屋のシャトルバスに乗って
レンタカーのヤードに行ってみると何時もはヤード一杯にレンタカーが置いてあるのに
全く車の姿がありません。
レンタカーのオフィスに入ると人で溢れています。
僕がレンタカーを頼むと普通は希望の車種とか期間とか聞かれるのですが
そう言う事は全く聞かずにただ「あなたは○○番目です」の答えのみ。
不思議に思って聞いてみるとヤードに車を駐車しておくとすぐに凍り付いて動かなくなってしまうので
車はここには置いてないの事。
そしてレンタカーを客が返却しに来るとそのままガソリンを注油して次の人に貸すと言うのです。
「あなたは○○番目です」と言うのは非常に正確な答えだったのですね。
それでも待っていると僕の番が来てやっとホテルにたどり着きました。
GMとの早朝会議
次の日の朝も物凄い寒さが続いていました。
GMのテクニカルセンターでの会議だったのですが会議室に行くまでが大変。
駐車場の広さが半端なくてディズニーランドの駐車場みたいです。
そこで皆寒いので少しでも建物の近くに止めようとして車が駐車場で大渋滞。
会議場に入ると会議の相手の人の唇の皮が剥けて血を出しているのです。
「どうしたんだ?」と聞いたら彼は朝リンゴと家のキーを持って駐車場に行ったらしいんだ。
所が両手が塞がっているので家のキーを口に咥えたらキーが寒さで唇に張り付いてしまってどうしても
取れないのでそのまま会社まで来て洗面所でお湯で溶かしたというのです。
僕は「それは災難だったね。でもリンゴとキーを持っていたならどうしてリンゴを咥えないでキーを
咥えたの?」と聞いたら「???」と言う顔をしていました。
とっさの時には何も考えないんですねヽ(´▽`)/
帰国の朝
次の日の朝は僕が大変でした。
ホテルから出てみると車を氷が覆っている感じでドアを開けるのにホテルの人に手伝ってもらって
大変だったのです。
やっと車に乗り込んでエンジンはかけましたがフロントガラスが凍り付いていて全く前がみえません。
僕はデフロスターを全開にしてフロントガラスの氷を引っかく道具でゴリゴリやりましたが、
なかなか溶けません。
デトロイトのレンタカーには必ずフロントガラスの氷を引っ掻くための道具が入っています。
その日は帰国の日で飛行機の時間も迫ってくるし仕方が無いのでフロントガラスの
真ん中が少し溶けたところで強引に出発しました。
視界が狭いのでガラスに頭をつけるようにして運転しました。
勿論デフロスターは全開です。
その内デフロスターの熱が直接頭に当たっているので頭がボーっとしてきました。
路面は凍っていて滑りやすくあちこちで事故車がとまっているし、それにその日は悪いことに前日に
飛行場とは反対の方角のホテルに泊まっている同僚をピックアップしてやると言う約束をしていたのです。
やっとそのホテルに着いたら同僚は「遅かったですね」とだけ言って助手席に乗り込むんで
平気な顔をしていました。
僕はそいつの態度が悪かったのでもう少しで 日馬富士状態になるところでした(´Д⊂