モズの松林です。
僕がドイツに駐在していた頃の話です。
ドイツでは秋にビール祭りがあり有名なのはミュンヘンのオクトーバーフェストですが、
ドイツ各地でそれぞれのビール祭りをしています。
フランクフルトの近くにホッホハイムと言う小さな町がありますが そこにドイツ人の友達に誘われて行った時の事です。
出典:4travel.jp
会場に着くと多くの人が集まっており 中心の舞台の上に非常に大きな木の樽が横向きに置いてありました。
今からビール祭りを始めますと言う発声で始まりました。
ホッホハイムの市長が手に木槌を持って樽の方に近づいて行きました。
市長が木槌で大きな樽に差し込んである木の栓を抜いて皆で新しいビールを飲もうと言うのです。
その時僕の友達が手を挙げてこう言いました。
「今年は遠い東洋から大事な友人が参加している。木の栓を抜く大事な役目を今年は彼にやってもらうというのはどうですか?」
会場の人たちは笑いながら賛同しました。
後で知ったところでは友人はホッホハイムの有力者だったのです。
僕は友達に連れられて舞台に上り木槌を渡され樽の横に刺さっている木の栓の頭を木槌で叩くように言われたのです。
樽に新酒に木槌。
僕の頭には日本酒の鏡開きです。思い切り良く木槌で木の栓の頭を叩きました。
途端に木の栓は樽の中に潜り込み木の栓をしてあった穴からはビールがすごい勢いで流れ出しました。
後で聞いたところでは 木槌で木の栓を少しづつコンコンと叩き 木の栓が樽の中に入る寸前に
水道の蛇口のようなものを穴に取り付け そこから新しいビールを注いで皆で
楽しむようになっているとの事でした。
ところが木の栓は樽の中に入ってしまい 多くの人が慌てて穴をふさごうとしましたが
穴は大きくてビールの勢いも強いため上手く行かずほとんどのビールは床に流れ出してしまいました。
会場の床はビールがたまって集まった人は大変だったのですが 皆は笑って手を叩いてくれました。
僕がやり方を知らないのは当然で それを楽しんでくれたのです。 寛容な人達です。
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