顧問の松林です。
オーストラリアのメルボルンからシドニーまで新車の試乗を兼ねて車で移動したことがあります。
僕が上海GMの社長をしていた時の事でアメリカ人とドイツ人の役員数人と上海GMの
実験部隊が一緒だったのでかなりの大人数で移動しました。
メルボルンから内陸に入りオーストラリアの計画都市 首都のキャンベラを通り東海岸のシドニー
までと言う約1000キロの走行でした。
直線で1000キロですがテストのためあちこち寄り道をしたので結構な距離になったと思います。
これは新しい車の性能確認テストのためでした。
僕はオーストラリア内陸の砂漠地帯を走りながらシドニーに着くのを楽しみにしていました。
ガイドブックにシドニーの海辺のレストランの紹介があり、そこのロックオイスターが
絶品だと言うのです。
牡蠣が大好きな僕は本当に楽しみにしていました。
やっとシドニーに着いた僕はガイドブック推薦のレストランに出かけました。
湾のすぐそばに建っているなかなか雰囲気の良い店で期待も高まります。
中に入ってみるともの凄い混雑ぶりでその多くは日本人で席の確保にも苦労しました。
やっと落ち着いてロックオイスターと白ワインを注文して待っていると 驚く程早く
注文の品が来ました。
食べてみると「???」と言う感じで本当にこれが絶品のロックオイスターなのかなーと思いながら勘定を済ませて
店の階段を下りて行きました。
そこでビックリするものを見てしまったのです。
大きな冷蔵庫があり その中に殻を剝いたロックオイスターが皿に盛りつけされラップを
かけられて山積みになっているのです。
牡蠣は殻を剝いてすぐに食べないとひどく風味が損なわれてしまうのはご承知の通りですが、
ガイドブックにも載って客が押し寄せるようになると一々オーダーを受けてから殻を
剝いていたのでは全く間に合わなくなり、前もって大量に殻を剝いて盛り付けまで済ませ、
それにラップをかけて注文が来たらラップを外してすぐに客に出すと言うスタイルに
変わってしまったのですね。
何が一番大切かと言う事を忘れて効率のみ考えてしまった結果なのでしょう。
効率を上げる事により一時的に売上が上がったとしても 長い目で見れば売上は
落ちてしまうでしょう。
店の評判を上げるのは大変ですが評判を落とすのは一瞬です。
その落ちた評判をもう一度上げるのはほとんど不可能なのではと思います。
ガイドブックに載ったことにより客が押し寄せその為に味が落ちてしまったレストランを僕は
いくつか知っています。
何が大切かをきっちりと認識し それを守り向上していかないと評判を落としビジネスも
落ち込んでしまう。
肝に銘ずべきですね。
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