松林塾長ブログ

人は何処からきて何処へ行くのか?(2)

出典 「ホモデウス」」表紙

数年前にドクター ハラリの書いた「サピエンス全史」と「ホモデウス」と言う 非常に
示唆に富んだ本を読みましたがその本の紹介と僕の感じた感想を書いてみたいと思います。

 

「サピエンス全史」は人類の今までの歴史、すなわち「人は何処から来たのか?」について
書かれており「ホモデウス」はこれからの人類がどうなって行くのか? すなわち「人は何処へ行くのか?」
について書かれています。

 

前回「サピエンス全史」の「人は何処かに来たか?」について書きました

今回は人は何処に行くのか?」について書きたいと思います。

 

但し本書の内容は膨大なので本の紹介と言っても概要や抄訳ではなく僕の気になった事をメインに
書いてみたいと思います。

 

全体を知りたい人で未だこれらの本を読んでいない人は是非読んで下さい。

文句無しにお勧めできる本です。

 

我々は今日何に取り組むべきか?(近代以前)

人類は何千年もの間 同じ問題に頭を悩ませていた。

疫病と貧困と飢餓である。

ただ今日我々はそれらがすっかりとは言えなくてもかなりの部分で解決できたことを
知っている。

疫病について

 

コロナがパンデミック状態にある今日疫病が解決済みと言うのは奇妙に聞こえるかも知れない。

ただ近代以前の疫病は今日のコロナとはスケールが違う。

14世紀 ペストが猛威を振るい7,500万人~2億人が死亡した。

南米ではヨーロッパ人が持ち込んだ疫病により人口の90%が死亡した。
20世紀に入ってからもスペイン風邪で当時の地球人口の1/3にあたる5億人が感染し
日本でも人口の40%が感染し45~48万人が死亡した。

現在コロナによる死者数は現時点(2月19日)で世界中で244万人である。

エイズは恐ろしいほどの犠牲者を毎年出しているが過去数千年に比べれば感染症は
はなはだ小さな脅威でしかない。

 

飢餓について

 

飢餓についても克服したとは到底言えない。

アジアやアフリカの貧困層では飢餓で死ぬ人が後を絶たない。

但し飢餓と貧困で亡くなる人は世界で100万人程度なのに対し肥満で死亡する人は300万人もいる。

2014年には、太り過ぎの人は21億人を超え、それに引き換え、栄養不良の人は8億5000万人
に過ぎない。

 

戦争

 

戦争についても色々な地域で戦争が起きているが全面戦争は第二次世界大戦以降起こっていない。

そもそも、核兵器というテクノロジーがこの平和を可能にした。

2012年の世界中の死亡者5600万人の内暴力に起因するものは1%に満たない。
(戦争の犠牲者が12万人、犯罪の犠牲者が50万人)

2010年には肥満とその関連病でおよそ300万人が亡くなったのに対して、テロリストに殺害
された人は、世界で7697人で、そのほとんどが開発途上国の人だ

大きくなるパイ

人類は長い間この世界を不変のパイと考えていた。
誰かが大きなパイの一切れを切り取ったら他の誰かの取り分が確実に減る。


出典:ニーダー

但し現在ではパイは拡大すると考えられている。
経済成長は可能であるだけでなく不可欠であると言うわけだ。

数千年の間キリスト教徒もイスラム教徒も天国の存在を信じておりその行き方について
意見が違っていた。

現代では資本主義も共産主義も経済成長を通じて世界を発展させると信じており
その具体的な方策について意見が違うのに過ぎない。

資本主義は常に発展を目指す。但し永遠に発展を続ける事が可能だろうか?
資源には限りがあるのでは?

これを解決するのが科学だ。

科学革命以降各世代は科学の助けを借りて新たなエネルギー源や新種の原材料、より優れた
機械、斬新な生産工法を発見したり発明したりした。

我々は今までよりもはるかに多くのエネルギーと原材料を使用している。

但し我々は生態環境の破綻防止と多くのエネルギー獲得の2つのレースをこなして
いく必要がる。

 

 

 

地球温暖化はしばしば話題になるが その為に
我々の経済成長を抑止しようとする試みは
成功しているとは言えない。

経済発展のおかげで益々多くのエネルギーを
使用することが可能になり 今まで人類を
悩ませてきた戦争、疫病、飢饉をほぼ抑え込む
ことに成功した人類の次の目標は何だろう?

 

人類の次の目標

それは人間及び人間の生命こそが最も大切であると言う「人間至上主義」だろう。

自分に耳を傾けよ、自分に忠実であれ、自分を信頼せよ、自分の心に従えと言うわけだ。

中世の夫のいる女性が隣人に思いを寄せて、彼と関係を持ったとしよう。彼女は笑みを嚙み殺し、
身なりを整えながら、こっそり家に戻ると、次から次へと考えが頭に浮かんでくる。

それらの疑問に答えるためには、その女性は地元の司祭のもとに行って告白し、指導を乞う。

出典:123RF

現代の女性が同じ事で悩んだ場合 かかりつけのセラピストを訪ね、すべて話すかもしれない。

理論上は、現代のセラピストは中世の司祭と同じ位置を占めていると考えられる。

但し現在のセラピストは中世の司祭のように「あなたは恐ろしい罪を犯したのだ。」とは
言わない。
セラピストはまず間違いなく、「それで、その件についてあなたはどう感じているのですか?」
と聞いてくるだろう。

現代のセラピストは、私たちが自分自身の内なる感情を知るのを手伝うだけにすぎない。

LGBTについても本人が良いと思えば他人がとやかく言う事は無いわけだ。

例えばトヨタが世界中の英知を結集して完璧な車を作ったとする。

所がその車は全く売れない。

その場合顧客はトヨタが結集した世界中の英知を顧客が理解できていないからなのか?

人間至上主義ではそうではない。顧客(個人)は常に正しいのだ。

 

自由意思と分割できない自己

自由主義の考えのベースは個人個人に自由意思があると言う事である。

自分が何をしたいと望んでいるか、善いと感じていることが善いかどうか、悪いと感じていることが
悪いかどうかに関しては、自分自身の意見を聞きさえすればいいのだと主張する。

自分に耳を傾けよ、自分に忠実であれ、自分を信頼せよ、自分の心に従え、心地良いことをせよ
と言う訳だ。

但し20世紀になり科学者がサピエンスのブラックボックスを開けると、魂も自由意志も
「自己」も見つからず、遺伝子とホルモンとニューロンがあるばかりで、それらはその他の
現実の現象を支配するのと同じ物理と化学の法則に従っていた

従って 経頭蓋刺激装置のようなものを装着すれば自由意思をコントロールする事が出来る。

ウエアラブルな経頭蓋磁気刺激装置が脳卒中患者の運動機能の回復に有用な可能性があるという
研究結果が発表されたがこれの使用を脳卒中患者だけに限定する事は可能だろうか?

 


出典 日経BP


出典:Wired

 

人間への臨床例は倫理的問題がある為まだ多くは無いがラットや猿やその他の動物の
行動や選択を自由にコントロールする事が実現されている。

もしこの技術が成熟すれば人間はどうなるのだろう?

ところが、魂など存在せず、人間には「自己」と呼ばれる内なる本質などないことをいったん
受け容れてしまえば、「自己はどうやって自らの欲望を選ぶのか?」と問うことは、もう意味を
成さなくなる。

生物化学者により「生き物はアルゴリズムである」と結論されている

鬱病患者の治療に患者の脳に電極を埋め込み、胸に埋め込んだ極小のコンピューターとつなぐ。
コンピューターからの命令を受けると、電極は微弱な電流を流し、うつを引き起こしている
脳領域を麻痺させると言う事が試されている。

患者はこの処置により軽快したが手術の数か月後に、症状が再発して激しいうつに圧倒されたと
苦情を言った。医師たちが調べてみると、問題の原因がわかった。コンピューターの電池が
切れていたのだ!

電池を取り換えると患者のうつ状態は嘘のように無くなった。

 

21世紀の新しいテクノロジーは、人間至上主義の革命を逆転させ人間から権威を剝ぎ取り、
その代わり、人間ではないアルゴリズムに権限を与えるかもしれない。

 

自由主義者たちは、私たちには単一の、分割不能の自己があると信じている。

 

但し現在の科学は人間は分割不能な個人ではない。さまざまなものが集まった、

分割可能な存在だと証明している。

 

人間の脳は、神経の太い束でつながった二つの半球からできている。

その2つの半球は神経の太い束でつながっている。

出典:ウィキペディア

色々な病気(例えば癲癇)の治療の為にこの神経の太い束を切断する事があった

 

これにより右脳と左脳は非常に異なった意識を持っている事が分かってきた。

分割不可能な自己等は無かったのだ

この流れ全体を勢いづかせているのはコンピューター科学よりも生物学の見識であるのに気づく
ことがきわめて重要だ。

 

前に述べたように「生き物はアルゴリズムである」と結論したのは生命科学だった。

多くの職業がAIに取って代わられ一般大衆が経済的重要性を失ったとき、道徳的理由だけで人権と
自由が守れるだろうか?

 

エリート層と政府は、経済的な見返りがなくなったときにさえ、一人ひとりの人間を尊重し続ける
だろうか?

 

人間は経済的な価値を失う危機に直面している。

現時点ではAIは意識を獲得していない。

 

ただ、社会や企業にとって意識と知識のどちらが必要だろうか?

 

これは問題なく知識の方が重要だ。

 

完全自動運転のタクシーと人間が運転するタクシーを比べた時 タクシー運転手の方が
AIよりも豊富な情動を持っている事は間違いない。

 

ただ目的地に早く安全に旅客を運ぶと言う観点に立った時AIの方が有用な事もあるだろう。

 

多くの職業がこのようにAIに取って代わられた時一般大衆は無用階級になる。
その時一体何をすれば良いのか?

 

不老不死

人類のもう一つの目標は不老不死だと考えられる。

生物化学、サイボーグ工学、コンピューター工学の三つが鍵となる。

我々は既に「人は何処から来たか」で述べたようにその三つの科学により不老不死への
道を歩き始めている。

 

但し全ての人類がその恩恵に浴せるかどうかは疑問である。アルゴリズムを支配する一部の
エリートとそうでない大多数の無用階級に分かれるかもしれない。

 

グーグルやフェイスブックなどのアルゴリズムは、いったん全知の巫女として信頼されれば、
おそらく代理人へ、最終的には君主へと進化するだろう。

 

例えばGPSに基づいたナビゲーション・アプリの「Waze(ウェイズ)」の場合を
考えてみよう。

ウェイズはとても性能が良いので、誰もが使い始めたとしよう。そして、ルート1号では
交通渋滞が発生しているけれど、その代わりとなるルート2号は比較的空いているとしよう。

 

たんにウェイズが運転者全員にそれを知らせるだけでは、彼らはルート2号に殺到するので、
こちらの道も渋滞してしまう。

 

ひょっとするとウェイズは、運転者の半数にしかルート2号が空いていることを伝えず、残りの
半数にはこの情報を伏せておくかもしれない。そうすれば、ルート2号を混雑させずに、
ルート1号の渋滞を緩和できる。

 

最終的にはウェイズが全ての車をコントロールする、すなわち君主になって
いるわけだ。

 

例えば未来の人間はバイオメトリック機器や人工臓器やナノロボットをたくさん体内に取り込み、
健康状態をモニターしたり、感染症や疾患や損傷から守ってもらったりする。

 

但しこれらの機器は、最新の医学的な進歩に即してアップデートするためにも、サイバースペースの
新しい疫病から守るためにも、毎日24時間休みなくネットワークに接続していなければならない。

 

私たちは、個々の人間に自由意志などまったく許さない、はなはだ有用な装置や道具や構造の洪水
直面しようとしている。

 

生き物はアルゴリズムであると生物学者たちが結論した途端コンピューター学者は生物と非生物の
間の壁を取り壊し、コンピューター革命を純粋に機械的なものから、生物学的な大変動に変え
権威を個々の人間からネットワーク化したアルゴリズムへと移した。

 

不平等の拡大

 

今日でもアメリカのシリコンヴァレーではテクノロジーの力をベースにして幸福や平和や繁栄、
さらには永遠の命を生み出しつつある。

 

但し一般大衆は無用階級になると述べたが、そうするとインドやブラジルやナイジェリアの
エリート層は何をしたがるだろう? 何億もの貧しい人々の問題を解決するために投資するだろうか?

 

それとも、何億もの貧しい人々を置き去りにして数百万の豊かな人々をアップグレードするために
投資するだろうか?

 

それらの無用階級も20世紀においては経済的にもや軍事的にもそれらの人達は必要不可欠だった。

だからエリート層はそれらの人達の底上げを試みた。

 

但し21世紀においてはそれらの無用階級を置き去りにしてエリート層だけで突き進む方が
効率的だと言う事は十分に考えられる。

 

そのようにして一部の超エリート層と大多数の無用階級に分かれた時に自由主義は崩壊する
のではないか?

 

先ほどウェイズの例で述べたように権限はそれらの超エリート層の手を離れ
アルゴリズムに
移って行く可能性もある。

 

人間は大多数の無用階級とそれらアルゴリズムをもコントロールする一部の超エリート層
ホモデウス)に分かれて行くかもしれない。

 

ホモデウスとは文字通り「神になった人間」の事である。

 

医学が病人の治療よりも健康な人のアップグレードにしだいに的を絞っていくなか、私たちは完全に
異なる種類の課題に直面している。

私たちは、新しい意識の状態を作り出す作業に着手する技術的能力を獲得しつつある。

 

但し。私たちは首尾良く体や脳をアップグレードできるかもしれないが、その過程で心を
失いかねない。

 

これまでよりもはるかに効果的にデータをやり取りして処理できるものの、注意を払ったり夢を
見たり疑ったりすることがほとんどできない人間を生み出す恐れがある。

 

そして権力が人源からアルゴリズムに移り アルゴリズムがグローバルに
一つのネットワークに
繋がった時 我々の全てはそのアルゴリズムに支配
されることになる。

 

そして個々のアルゴリズムは始めは人間の手によったかも知れないが それ自身が独自に
学習し進化しグローバルなネットワークを形成した時には我々人間にはコントロールできないし
理解できないものになっている可能性がある。

 

いわば我々の未来は我々には理解不可能な一つのアルゴリズムに
よって支配される。

その未来は今の我々には理解も出来ないし予測も出来ない。

ドクター ハラリは歴史家であり預言者ではない。

彼は本書の中で述べているように歴史からみた未来の一つの形を示しているのであり、その未来の
形に修正すべきことがあれば皆でどうしたらハラリの未来を変えられるかを真剣に考えて欲しい
と述べている。

 

ドクターハラリはその時のキーワードは下記の3つあると述べている。

1. 生き物はアルゴリズムであり、生命はデータ処理に過ぎないのか?

2. 知能は意識から分離できるのか?
  知能と意識のどちらのほうが価値があるのか?

3. 意識は持たないものの高度な知能を備えたアルゴリズムと言うものは存在するのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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